時刻表に関する著作権について調べてみた

時刻表は著作物なのか

市販の時刻表は編集著作物に当てはまるが、列車の発着時刻等のデータ自体は著作物ではないとの説が一般的である。[1][2]

著作権法では著作物とは「思想又は感情を創作的に表現したものであつて、文芸、学術、美術又は音楽の範囲に属するものをいう。」と定義されている。 従って、単に事実を表すデータは著作物とはならない。しかし、単なるデータの集合あっても、見やすく配列する行為が著作権が保護する対象となり 、これを編集著作物と呼ぶ。
この決まりに従うと、列車の発着時刻は事実を表すデータであるため著作物とはならず、時刻表における路線の切り分け・含まれる列車の選定・主要駅の強調表示などは著作物となる。
細かい部分だが、1列車の駅ごとの発着時刻は誰が書いても当然同じになるため、著作物とはならないと推測される。

データベースとしての著作権

時刻表に関する著作権訴訟が見当たらなかったので類似した例を探してみた。 時刻表とは、事実を集めたデータベースと見なすことができるので、データベースに関する著作権判決を探すと色々見つかる。[3]

データベースの著作権を侵害していると判断された理由は2つあるようだ。
1つ目は、データベースの構造が明らかに模倣されている場合。独自性が強いデータ構造であるにもかかわらず、両者の構造がよく一致していた場合は当然著作権侵害だろう。
2つ目は、データベース内の分類が模倣されている場合。個別にデータベースを作っていると判別しているデータの分類には当然誤差が生じるだろう。

逆に、データベースの著作物性が否定された例も紹介する。[4]この例はデータの大部分が一致しており、データベースの模倣が認められたが、元のデータベースに創作性がなかった為、著作物とは認められなかった例である。 しかし、システムの販売について競合関係にあるにも関わらず、データベースの模倣(複製)し顧客に販売した点が不正競争防止法に抵触したと判断された。

時刻表著作権について個人的な主観を込めたまとめ

駅における発着時刻や列車の駅ごとの発着時刻の単なる一覧には著作性は存在しない。これは思想又は感情を創作的に表現したものでもなく、事実に基づいて万人が容易に作り出す事ができる事からも明らかである。 駅時刻表や本時刻表の写真や、Web上で公開されている時刻表のpdfやスクショを転載するのは著作権上の違法行為である。

データベースとして時刻表を取り扱うと少し難しい。 まず、他社・他人のデータベースをそのまま複製するのは何らかの形で違法になるだろう。元のデータベースに著作物性が認められれば著作権法違反、そうでなくとも不正競争防止法に抵触する。 事実を元に独自の分類でデータベースを作るのは合法。他のデータベースと内容が一部重なっていても、同一の事実からデータベースを作れば誰が作っても当然内容は重なる。

OuDiaデータベースが違法行為とならないように

OuDiaデータベースの改良を進めており、全国規模で路線図からoudiaファイルを検索できる事を目標としている。 全国の時刻表データを個人で作るのは時間や費用の面で無理があるため、幅広いユーザーの助けが必要となる。 そのため、データベースから不正な手段で作られたファイルをいかに排除するかは頭を悩すところである。

最低限著作権違反とならないように、既存時刻表とは異なる独自の路線分割を行っている。オープンデータを基準に路線を分割し、 都合に応じて路線を組み替えていく過程も記録することで、既存時刻表の模倣でないことを強調したい。
後は、データ投稿者が違法な手段で入手したファイルを投稿する事をできるだけ阻止する事が重要となる。明らかに転載が禁止されている他サイトからの加工物は確認次第弾いているが、 全てを完全に排除できるかと問われると怪しいところである。
そもそも時刻表における「データ」の著作物性はないので、判断しろと言われても無理がある。 もちろん、投稿規約で違法ファイルを禁止し、co.jpドメインのメールアドレスからならば無断で削除できるようにするなど、できる限りの対策は行いたいと思う。

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参考資料(2019/07/15確認)



更新:2019/07/15